今週の一冊 |
| 三星の強さは、日本企業の過去の強さを学び良い点を昇華させた事であるようだ。今の日本企業が忘れている、従業員を「教育して強化する仕組み」が徹底している。更に、ビジネスを重視し、日本企業の様な「顧客も望まない技術信仰」に陥っていない。日本のDRAMメーカーが市場もない4MBに移行する中、1MBの生産力を強化した時点で「勝負はあった」。しかも、日本メーカーが「価格調整の為、生産調整・出荷調整」する中、逆に投資して供給能力を上げ、大幅な利益を確保した時点で、「止めは刺された」。事業としては「一度休んで、捲土重来」などと言う戦略はありえない。三星の強さは、「素直さ」とビジネスに特化した「高度な事業戦略」と「従業員のスキルをアップする教育制度」にある。大不況の今、「過去に学ばない」傲慢 (相手を馬鹿にする様では、相手の戦略の利点は決して学べない)な姿勢では、日本の電機業界の先行きは非常に不安である。付加価値を生まない「付き合い」は、担当部署が対応し、トップはできるだけ自分の教養やスキルアップの時間を作る等、「真剣にビジネスに向き合う」姿勢が日本とは大違いである。「従業員のなれの果て」の多くの日本の経営者と異なり、「経営者」と言う違うスキルの会社構成員になるべく、常に努力を忘れない韓国の経営層、この意識・姿勢の差が日本企業と韓国企業の成果の差となって現れている。経営者は、「高級従業員」であってはならない。「経営者」という、従業員とは別の能力を保有する人種にならなければならないのである。そのためには、常に「素直で、真摯な態度で、優しく且つ厳しく」様々な人から、多くのことを学び取る姿勢が重要である。「オレは、偉いんだ!」という姿勢では、誰も本音を語ってくれることはない。その結果は「裸の王様」になるだけであり、「中身のないP-Manが権力にものを言わせて、恐怖政治で」従業員を従わせるだけでしかない。これでは、国際競争力ある製品も生まれないし、国際的優良企業にもなりえない。韓国は、70,80年代の日本企業のいい点を学んで国際企業を多く排出している。日本は、欧米に学んで70,80年代は世界で一流になった。しかし、先人の成果の上に胡坐をかき、単に「技術だけ優れていれば」良いという思い込みで、世界一でなくなってもそれを素直に認めようとしない姿勢では、国益を害することにしかならない。目標を失い迷走している今、素直に一度韓国企業に学ぶことも重要ではないだろうか? |
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今月の一冊 |
【 5 】 イノベーションのジレンマ『日本 半導体 敗戦』 湯之上 隆著 |
| ハーバードビジネススクールの社会科学のクレイトン・クリステンセン教授の論文「イノベーションのジレンマ」理論で半導体業界を分析した書籍である。著者は、日立の最先端半導体開発に従事し、その後エルピーダメモリ、半導体先端テクノロジーズと日本のDRAMの最先端技術畑を歩んだ。しかし、2001年日本のDRAMメーカーが「崩壊」し大規模な「リストラ」が日本中を吹き荒れる中、その渦中に巻き込まれ「早期退職金」も受け取れず「早期退職」せざるを得なくなった。その後、同志社大学で社会科学と出会い、クリステンセン教授の理論で半導体業界を分析した論文を数多く出している。実際の現場に携わった経験を元に多くの業界関係者とのヒアリングを行い、日本半導体業界が罹患している「コスト意識欠如」、「イノベーションを”技術革新”と誤訳し、過剰品質・過剰技術」で事業を駄目にする『重篤な病』に深く切り込んできた。(この病は半導体業界が最も重症(いや重体か)であるが、他の製造業も病状の軽重はあっても半導体同様に罹患しているのである) しかし、「日本の技術は一番、と思い込む」半導体業界は当初この意見を完全に無視し、理解者は僅かにエルピーダ坂本社長他数人に限られた。そんな中でも、自分の分析は正しいと意見を押し通し、最近では多くの賛同者を得るようになっている。本書は、下記に紹介している「論文」の集大成とも言える書籍であり、日本の半導体メーカーが何故凋落の一途を辿ってきたのか、また何故過剰性能病から脱却できないのか、鋭く分析している。この内容が正しいことは今週の一冊のサムスンの強さとあわせ読めば明確であるが、日本半導体の懲りないトップ面々は素直にその結果を認めようとしていないのが、現実である。そんな現実に対し、著者は「敗戦」という強烈な単語で応酬している。日本の大企業は「公器」であり、経営層の所有物ではない。工夫次第で利益が出る手法がある事を素直に認めず、さらに具体的な改善策も取らず、何時までも「自己満足の世界にはまり、利益を阻害し、既得権益に執着し、己が身安全のために安直にリストラを繰り返す」姿勢は人倫に欠ける行為である。日本は法治国家であり、余りにも国益を害する事業展開は放置されてはならないと思う。この書籍から、「著者の怒り」を感じるが、それは個人的な怨恨ではなく、日本の企業が従業員全体の幸せを考えて、利益を生み出せるグローバル企業になろうと努力しない事に対する怒りである。半導体は、技術が細分化され「人間としての常識が阻害される様になり、倫理とは何かも忘却の彼方」にあるケースが多いが、人間は何故働くのか、企業とはどうあるべきか、昨今の様にマネー本位主義で倫理感が薄れてきている世の中にあっては、その点を問い直す意味でも是非読んで欲しい1冊である。 |
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